近年、空き家での火災発生率は増加しています。
空気が乾燥しやすい冬は、とくに火の取り扱いに注意しなければなりません。
しかし、対策もせず放置されている空き家は少なくないのが現状です。
そこで今回は、空き家で火災が発生した際の原因、所有者がとるべき対策や所有者にかかる賠償責任について解説します。
大切な命や資産を守るためにも、ぜひ参考にしてみてください。
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弊社へのお問い合わせはこちら空き家で火災が発生する原因
空き家で火災が発生する原因として、もっとも多いのが「放火」によるものです。
とくに、深夜や早朝は人通りが少なく、寝静まっている時間帯であるため、人目に付きにくく犯罪が起きやすいというのが現状です。
火災が発生しやすい空き家の特徴
明かりが灯らず住人の気配がなかったり、外から家の中の様子をうかがうことができる家は、人が近づきにくく犯人にとっては好都合であるため、狙われやすい傾向にあります。
また、近隣に家がなく人の気配があまりない、門扉がなかったり常に開いている家も、誰でも容易に侵入ができてしまうため放火犯の格好の餌食です。
さらに、空き家で何も置いていないからといって施錠を怠り、窓やドアの施錠が常にされていない家も狙われやすくなるため注意が必要です。
いずれも管理不足が原因であると考えられるため、定期的に管理をおこなうことが重要となります。
なお、放火が発生しやすい時間帯は夕方から夜中にかけてがもっとも多く、出火元は建物周辺よりも室内のほうが多い傾向にあります。
そのため、室内に入れないよう工夫することが放火を防ぐことにもつながるのです。
放火以外の火災原因
放火以外で多いのは、タバコのポイ捨てやガス漏れによる爆発事故、配線機器のトラブルなどが挙げられます。
これらも放火と同様で、管理が行き届いていないのが原因です。
タバコのポイ捨てが原因となるのは、敷地内の手入れされていない雑草や不法投棄されたゴミなどに燃え移ることで延焼するケースです。
また、ガス漏れや配線機器によるトラブルは、設備確認を怠ったために老朽化したり、異常があるにも関わらず放置し続けた際に火事に発展するというケースが多くあります。
さらに、ネズミが配線をかじることで火災が発生する可能性もあるため、糞が落ちていた場合は配線もチェックしておきましょう。
空き家の火災を防ぐための対策法
防ぐための対策法としては、定期的に空き家を訪れ、草木の手入れやゴミの清掃、設備の老朽化や異常がないかもチェックしておくことが重要です。
人が住んでいない家は管理不足になりがちであるため、出火原因による特徴を押さえたうえで防止対策に努めると良いでしょう。
出火傾向を考慮した対策
基本的に、もう住むことができない空き家は、売却するか賃貸に出す、もしくは解体することが望ましいです。
しかし、すぐに対応することが困難な場合は、以下の方法を試してみると良いでしょう。
たとえば、人の気配を感知したら点灯する自動照明を設置したり、戸締りをしたうえで門扉も閉じ、侵入を防ぐ工夫をすることが大切です。
また、管理人の存在をアピールするために、目につく場所に管理業者の社名や連絡先などを明記した看板を設置しておくのも効果的です。
さらに問題が発生した際は、ご近所さんに連絡をしてもらえるようにお願いしたり、家周辺にある燃えやすい灯油タンクや新聞紙などは片付けておくことで二次災害を防ぐことにもつながるでしょう。
このような点に気を付けるだけで、被害に遭いにくくなるだけでなく、被害拡大を防ぐこともできるため一度試してみることをおすすめします。
定期的に見回るのではなく、不定期にすることで犯人にとっては都合が悪くなります。
家を出入りしているような雰囲気を醸し出し、家が手入れされていることをアピールすることが、火事の発生を防止するために重要であると言えるでしょう。
空き家で火災が発生した際の所有者にかかる賠償責任
空き家が出火元となり、万が一、近隣住宅に延焼した場合は所有者に責任を問われることがあります。
しかし、例外として第三者の犯行により火事が発生した場合は、基本的に所有者が責任を問われることはありません。
また、そのときの状況により異なりますが、「重過失」と判断された場合は、賠償責任を負う必要があります。
そこで、万が一にも備えることができるのが火災保険です。
空き家の火災保険
空き家でも火災保険に加入することはできますが、誰も住んでいない家は「住宅」とみなされないため、保険料も比較的高い傾向にあり、加入条件も厳しいのが現状です。
火災保険の特約である賠償責任に関しては、「個人賠償責任保険」に加入することはできないため、「施設賠償責任保険」に加入します。
施設賠償責任保険とは、施設が被害を与えた際に保証が受けられる保険です。
空き家は人が住んでいないことが前提であり、人が被害を及ぼす可能性はないため、「個人」ではなく「施設」の賠償責任保険になります。
しかし、契約時には家の管理状況も考慮されるため、空き家でも廃屋のような状況である場合は火災保険に加入するのは難しいでしょう。
失火責任法とは
一般的に、近隣住宅から出火した火事により自宅も被害に遭った場合は、損害賠償請求ができます。
しかし、失火責任法では「失火の場合にはこれを適用せず」と定められているため、失火であると判断された場合は、所有者が責任を負う必要はありません。
たとえば、放火などの第三者の犯行により火事が発生した場合が該当します。
ただし、失火者に重大な過失が認められた場合はこの限りではなく、責任が一切問われないわけではないため注意が必要です。
重過失とみなされたケース
どこからが重過失と判断されるかは意見が分かれるところでもあります。
しかし、火災の可能性を予期していたにもかかわらず、防止対策をおこなわなかった場合は、重過失と判断される可能性も高くなるでしょう。
実際に、重過失とみなされ損害賠償を請求されたケースを2つご紹介します。
1つ目は、管理者が3か月間建物を放置していたケースです。
裏口の施錠をしていなかったため、そこから犯人が侵入し石油タンク付近で放火が発生しました。
2つ目は、親族が空き家をきちんと管理していたケースです。
見ず知らずの人が侵入し、放火の準備をほのめかすような行動を目撃していたにもかかわらず、警察に通報することをせず、その夜に火事が発生してしまいました。
このようなケースは第三者の犯行によるものですが、所有者の管理責任が問われるため重過失とみなされます。
重過失と判断された場合は、損害賠償を請求されるうえ、火災保険の保険金も受け取ることができないため、火災保険に加入していても定期的に管理をおこなうことが重要です。
明らかに管理不足が原因である火事は、重過失と判断されやすいため、家のメンテナンスやケアは怠らないように気を付けましょう。
また、周囲に被害が及ばなかったとしても、空き家が燃えた際は残存物の片付けや廃棄をしなければなりません。
片付けなどにかかる費用も安い金額ではないため、リスクの1つとして考えておくと良いでしょう。
まとめ
空き家で火災が発生する原因は放火がもっとも多く、タバコのポイ捨てやガス漏れ、配線機器のトラブルなども挙げられます。
対策としては、定期的に訪れ管理状態をチェックしておきましょう。
また、第三者の犯行は基本的に責任を問われることはありませんが、管理状況によっては重過失と判断される場合もあるため注意が必要です。
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