火災保険は2015年に最長36年の長期契約から最長10年契約に改定されました。
そして、2022年には10年契約が廃止され、最長5年契約に短縮される方針が大手損保保険会社により表明されました。
なぜ火災保険の10年契約が廃止されるのか、住宅購入者にとってどのような影響があるのかを紐解いていきましょう。
また、いつから新たな契約内容が開始されるのかあわせて解説します。
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弊社へのお問い合わせはこちら火災保険の10年契約はなぜ廃止されるのか?
火災保険の10年契約廃止がなぜおこなわれるかは、大規模な自然災害が相次いでいることが背景にあります。
近年、大型台風や集中豪雨など大きな被害を及ぼす災害が頻発していることを実感されている方も多いでしょう。
集中豪雨により河川の氾濫、洪水や土砂崩れなど各地で被害が報じられています。
なぜ災害が多く発生しているかは、地球温暖化による異常気象の影響が大きいと言われ、100年に1度などと言われる災害が幾度となく発生しています。
そして残念なことに、今後も想定を上回る災害が発生する可能性は大いにあるというのが専門家の見解です。
当然、自然災害による被害が多くなるほど、保険金の支払いは多く発生します。
損害保険料算出機構によると、台風21号・24号や中国四国地方の豪雨に見舞われた2018年に支払った保険金は7,079億円にのぼり、支払い件数は84万6,364件です。
2018年の支払い保険金及び支払い件数は過去最多を記録しました。
保険金の支払いは年によって変動があるものの、近年はとくに増加傾向が続き、今後も引き続き継続する予測が立っています。
保険金の支払いが増加することで、損害保険会社の収支が悪化し、保険を提供することが難しくなります。
そこで収支改善を目的として、契約期間を短縮し、保険料を値上げする対策が実施されているということです。
なぜ契約期間の短縮が保険料の値上げに結びつくかというと、保険料の値上げは契約期間が満了して、更新するタイミングで反映できるからです。
契約期間を短くすることで契約更新の機会が増え、保険料を値上げするには好都合なのです。
たとえば10年契約で保険に入り、その後保険会社が保険料の改定をおこなったとします。
10年契約をしている契約者が改定の影響を受けるのは、10年契約が満了したタイミングとなり、保険会社としては収入が増えるには時間が必要となります。
契約者の目線で見ると、10年間は保険料が値上がりしても影響を受けないメリットがあります。
火災保険は短期契約から長期契約までありますが、一般的に長期契約のほうが割安に構成されています。
長期間の契約は契約当初に経済的負担がかかりますが、長期的にみると節約できるため、現行最大である10年契約を選ぶ契約者が多い現状です。
そのため、保険会社は収支改善のために10年契約の廃止に至ったという経緯です。
今後は最大5年契約になることが報じられています。
長期の契約をお考えの場合は、5年ごとに更新しなくてはなりません。
なぜ最大契約年数が年々短くなっているかというと、ここ数十年災害リスクが予測しづらくなっていることも理由に挙げられます。
また発生する頻度や規模が想定以上になっていることも大きく、10年契約は保険会社の存続リスクが大きいと判断されたことが、廃止の理由です。
火災保険の10年契約の廃止はいつから?
保険会社の収支改善を目的に、火災保険の10年契約が廃止される見込みですが、いつから実施されるかについて解説します。
また、改定に伴う影響についてもご説明します。
10年契約の廃止はいつから?
火災保険の10年契約廃止は、2022年10月から実施される予定です。
2022年10月までに住宅を取得し契約すれば、10年契約の火災保険に加入できます。
しかし2022年10月1日以降が始期となる契約に関しては、改定後の契約内容が反映されます。
すでに契約を交わしている契約者に改定の影響は及びませんが、契約を解除して改定後に再契約する場合は影響を受けるので注意しましょう。
影響を受けるかどうかは、ご自身がいつから火災保険に加入したかが基準となります。
たとえば2022年9月に住宅購入契約と火災保険の10年契約を結んだ場合、保険料が値上がりしても、2032年9月までは値上げ前の金額が反映されます。
しかし、2022年10月に5年契約を締結し、2027年11月以降に更新する場合は値上がりした保険料を支払わなければなりません。
いつから改定内容が反映されるかを把握し、今後の住宅購入スケジュールを立てることがおすすめです。
10年契約の廃止に伴う影響とは?
いつから火災保険の10年契約が廃止されるかという点とともに、改定後の影響についても知っておきましょう。
火災保険の長期契約は、1年契約に比べて割安に設定されています。
したがって、同じ10年の契約年数であっても、5年契約を2度おこなうことは、10年契約を1度おこなうことより総支払い金額は高くなります。
購入時期が数か月の差であっても、保険料金が負担増になることは覚えておきましょう。
ただし、5年契約のメリットもあります。
更新のタイミングで補償内容を確認したり、見直したりする方が多いので、更新頻度が多くなることで保険内容を検討し、不要な内容については見直しのきっかけになります。
結果的には、保険料の節約にもつながることも考えられます。
10年契約廃止とともにハザードマップ変動型に移行する動き
これまで解説したとおり、火災保険は自然災害と密接した関係があります。
そこでハザードマップを保険料の指標に設けた、ハザードマップ連動型の火災保険に移行する動きがあります。
なぜハザードマップが重要な基準になるかというと、自然災害が起こりやすい地域では保険金が支払われる可能性が高いことが理由です。
これまで火災保険の水災リスクは、全国一律で保険料に反映されていました。
したがって、標高が高く水害の発生リスクが低い土地と、埋立地や河川に近い水害発生リスクが高い土地の保険料は同額でした。
しかし過去に保険金を支払った住宅は、ハザードマップで危険地域に該当していることが明らかとなり、ハザードマップ連動型が合理的であるという見方が強くなっています。
やみくもに保険料が上がるより、契約者の理解を得やすく、安全な地域に住んでいる方にとってはありがたい内容になるでしょう。
楽天損保では一足早く2020年4月より、ハザードマップに基づいて保険料を算出する仕組みを取り入れています。
算出方法は、国土交通省が公表しているハザードマップの浸水深に基づいて、水災リスクを4段階に分けて保険料率に反映させます。
今後は所在地によって保険料が変わることが考えられるので、お住まいの地域のハザードマップを確認し、妥当な火災保険の金額なのかチェックが必要です。
楽天損保のほかにも大手損害保険会社でハザードマップ連動型の保険料率を導入する動きが加速していて、今後土地によって保険料が変わることは常識になるかもしれません。
東京海上日動火災では、企業向けの火災保険については保険料にハザードマップを連動させています。
注目したい点としては、水災被害のリスクが少ない安全な土地に関しては保険料が2%減になる点です。
個人の火災保険に関しては、ハザードマップ連動型はまだ商品化されていませんが、今後導入された場合、お住まいによってはお得な保険制度になるかもしれません。
まとめ
火災保険の10年契約がなぜ廃止されるのか解説しました。
いつから廃止予定なのかを把握いただき、住宅購入時期をご検討ください。
また今後保険料が改定した場合、いつから保険に加入しているかが重要です。
今後、主流となるかもしれないハザードマップ連動型についても事前に把握しておきましょう。
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