こんにちは、建和株式会社 枝実です
早いもので、2022年も残り約1ヶ月。今回は、この1年間で不動産業界に起こった変化やニュースなどを振り返ってみたいと思います。
今年、不動産業界に起こった変化とキーワード
いまだに完全収束したとは言えないコロナウイルス、ロシアによるウクライナ侵攻、アメリカの巨大IT企業の業績悪化など、世界的に暗いニュースの多かった2022年です。日本においても、安倍元首相の襲撃事件や、知床半島沖での観光船沈没など、ショッキングな出来事が印象に残っている方も多いかもしれません。一方、冬に北京で開催された「オリンピック・パラリンピック」での日本勢の活躍や、投打二刀流でアメリカでも大人気の大谷翔平選手など、カタールW杯では、日本が初戦で大金星をあげたりと、スポーツ関連の明るいニュースに元気をもらえた1年でもありました。
そんな中、不動産業界では「これまでの商慣習や仕事の進め方、ひいては業界のあり方が今後大きく変わりそう」といった、変化の兆しが見られた1年でした。ここでは、大きな5つのトピックに絞ってキーワードとともに振り返っていきます
キーワード1 : 法改正
2022年5月、改正宅地建物取引業法(以下「宅建業法」)が施行されました。これにより、「押印・書面の交付等を求める手続きの見直し」、つまり押印や紙の手続きが不要な電子契約が、不動産においても本格的に可能になったのです。
改正前は、対面かつ紙の書類やハンコを使用した契約が必要でしたが、新型コロナウィルスの流行で定着した非対面ニーズに合わせた変更と言えるでしょう。
この変更によって、もっとも変化が大きいと予想されるのが、賃貸仲介と不動産投資です。大学受験をイメージしてみると、地方から上京して賃貸物件を探す時間やお金がないという学生さんは、オンラインで内見できる物件や、ネットで契約が完結できる会社を希望されるでしょう。一方、不動産投資のオーナーは、自分が住む物件ではないため、直接内見する必要もなく、契約のためだけに不動産会社に赴くことを「時間のムダ」と感じる方もいます。
これまで、電話やFAXなどアナログな手続きが当たり前だった不動産業界ですが、今回の法改正で、今後ますます多様化していく顧客ニーズに合わせて進化する必要に迫られていると言えます。
キーワード2 : Z世代
2022年4月1日から、民法改正により成年年齢が20歳から18歳に変わりました。
成年年齢の変更は明治時代以来で、なんと約140年ぶりの大きな変化です。近年日本では、公職選挙法の選挙権年齢を18歳にするなど、若者が政治に参加できるような政策が進んできました。また、世界的にも18歳が成年年齢の国が主流となっていることが変更の背景にあります
この成年年齢引き下げにより、不動産においても18歳から賃貸契約が可能になりました。18歳といえば高校を卒業し、進学とともに一人暮らしを始める人も多い年齢です。実態としては親が保証人になるケースも多いようですが、賃貸仲介会社にはこれまで以上にわかりやすい説明が求められるようになりました。
また、新たに「大人」として扱われるようになった18歳や19歳は「Z世代」にあたります。さまざまな特徴を持つZ世代ですが、不動産探しの方法にも他の世代とは違いが見られます。SHIBUYA109 lab.が今年3月に発表した調査では、物件探しにおける情報収集方法の男性第4位・女性第3位にInstagramがランクインしています
男性は5位に動画配信サービスも入っており、Z世代の不動産選びにおいてはSNSが大きな影響を持っていることがよくわかります。
キーワード3 : リスキリング
すでにご紹介したとおり、不動産でも完全オンライン契約が実現するなど、いよいよDXが待ったなしの状況です。不動産テック4社・2メディアが不動産関連事業に従事する766名に対して行ったアンケート「不動産業界のDX推進状況調査」の結果によると、DXを「推進すべきだと思う」は98%、「実際に取り組んでいる(いた) ・ 予定」は71%にのぼります
不動産DXの必要性が浸透すると同時に、企業におけるDX人材の育成や採用もさかんに行われ始めました。業界を牽引する大手企業は、全社員を対象にした大規模な教育施策をすでに開始しています。各企業は自社の人材教育が、そして個人ではDX人材になるための自己投資が欠かせない時代になったと言えます。
キーワード4 : 円安
2022年3月以降、円安ドル高傾向が続いております、10月には1ドル150円台を記録しました。11月に入ってからは130円台円高になるなど今後の見通しはまだ不安定ですが、円安傾向の中で積極的な動きを見せているのが、海外投資家による日本不動産の購入です。
円安に関係なく、そもそも日本の不動産は割安と言えます。一般財団法人日本不動産研究所が2022年5月に発表した、第18回「国際不動産価格賃料指数(2022年4月現在)」の調査結果によると、東京の港区元麻布地区を100と指標した場合、最も高い香港は218.2と日本の2倍。ロンドン181.3、台北147.8です。世界主要都市の中では、東京の物件価格は他の主要都市と比べ、割安だと言えます。
賃金や物価など、2022年に入って日本の「安さ」は多くの人が知るところとなりました。不動産においても、それはもちろん例外ではありません。京都や北海道などの観光地では、すでに海外資本が数多く入っています。日本の物価や平均賃金が先進諸国同様に上がっていかない限り、この状況が容易に変わることはないでしょう。
キーワード5 : 少子高齢化
少子高齢化は、日本が抱える最も大きな問題と言ってもいいでしょう。厚生労働省は2022年6月、2021年の合計特殊出生率(1人の女性が生涯に産む子どもの数)が1.30だったと発表しました。出生数は過去最少を更新し、6年連続の低下。コロナウィルスの影響で出生数が減ったのは世界的な傾向ですが、アメリカやフランスはすでに回復基調にあります。日本の出生数から死亡数を引いた自然減は62万8205人と、こちらは過去最大を記録。確実に人口減少社会と言えるのが日本の現状です
人口減少により不動産業界で問題になっているのが、空き家の増加です。総務省が実施した住宅・土地統計調査(2018年)によると、日本の空き家率は13.6%。だいたい7戸に1戸が空き家ということになります。2038年には3戸に1戸近くになると試算されており、各地で空き家問題は深刻化しています
参考:平成30年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計結果の概要(2019年9月30日総務省
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