日銀のマイナス金利解除の住宅ローン(変動金利)への影響について、金利上昇への対策も交えてザックリまとめておきます。
■背景を簡単に
そもそも日銀がなぜマイナス金利政策をとっているのか?これは物価上昇を実現するためです。市場にたくさんお金を流して景気を良くしていこうという話です。
物価上昇って国民には良い事ではなさそうですが、物価が下がってデフレ状態って給料も上がらない方が深刻です。みんなで貧乏になる感じです。なので、"賃金上昇も伴った上"で物価を上昇させていく事を目指しています。
で、コロナ明けてからここ最近物価も上がってきたし賃金も上がってきたのでマイナス金利解除(利上げ)してこーとなっています。ま、賃金上がったといっても、一部大手企業の話だから実感できない…という話はあるけどそこは今回は触れません。
■長期金利の利上げと固定ローンの金利
日銀の政策金利には長期金利と変動金利があって、長期金利は、2022年12月~2023年10月にかけて少しずつ実質利上げしてきました。
その結果、住宅ローンの長期金利は2022年後半から2024年にかけて、超固定フラット35は1.2~1.3%から1.8~1.9%くらいに上昇しました。2024年3月は1.84%です。
一般的に固定金利が先に上昇しその後に変動金利が上昇するため、次はいよいよ変動金利かという感じになっております。
■マイナス金利解除か!?
いよいよ本題です。今回の、変動金利の政策金利も利上げしようというニュースです。
政策金利上昇によって、無担保コールレート翌日物(以下、無担保コール)が上がる。すると住宅ローン変動金利の元になっている短期プライムレート(以下、短プラ)も連動して上がる可能性があるので、変動金利も上がるかもという流れです。
ややこしいので簡単に考えると、無担保コールが上がると短プラも上がるのか?と考えればOKです。短プラが上がれば変動金利も上がるります。
詳細は未定だけど、どうやら無担保コールの目標を-0.1~0%から0~0.1%へ引き上げるのではと言われている。2月の副総裁の発言が情報ソースです。
■今回の利上げで変動金利は上がる?(予想)
未来を予想するには過去を見るのが一番です。短プラと無担保コールの関係性を見ていこう。詳しくは添付のグラフを見てね。
現在の短プラ最頻値は1.475%で2008年から変わっておらず、この期間の無担保コールは-0.1~0.1%程です。
短プラが今より少し高かったのは1995~2008年くらいで1.375~1.625%程度です。この期間の無担保コールは0.1~0.7%程です。
この情報から予想できるのは、無担保コールが今回の利上げで0~0.1%に上がったところで、急激に短プラ(変動金利)が上がるとは考えにくいってことです。絶対とは言えですが。。。
さらにさかのぼると、1993年頃には短プラは4%超・無担保コールが3%超。1991年頃には、短プラ・無担保コールともに8%超。バブルです。
【建和営業マンの予想】
今回の利上げでは、短プラ(変動金利)は変わらない可能性が高いです。
■今後の利上げは?
誰にも正解は分からないですが、政策金利があまりに低い状態になっているので、賃金上昇と国債価格次第ではありますが、植田総裁の任期2028年までに数回利上げが行われる可能性は十分あると踏んでいます。
今後0.1%の利上げが3回あれば、無担保コールは0.2~0.3%。過去推移でみると短プラは1.675%くらいになる可能性があり、変動金利は今より0.2%上昇することになります。
金利が0.1%上昇すると借入4000万円・元利均等だと月々1800円程度の負担増です。0.2%なら3600円増になるね。しっかり仕事してる人なら全く問題ないレベルです。
現在の住宅ローンの変動金利仕上がり金利が0.3%ぐらいで毎月の支払い、100,337円がそれが、0.4%だと毎月、102,076円0.5%だと、月々103,834円になります。
【建和営業マンの予想】
この数年で0.2~0.3%程度の利上げの可能性は十分ありますが、1%を超えるような大幅な金利上昇が10年以内に起きる可能性は極めて低いです。変動金利の仕上がり金利が1.5%毎月の122,473円 月々が22,000円程度上がるようなことです。
■金利上昇時代の対策は?【急速な金利上昇パターン】
今パターンで何より大切なのは、世の中の平均以上の市場価値・スキルを持っておく事です。
金利が急速に上がるということは急激に景気が回復した場合であり、世間の賃金も上昇しているからこそ金利上昇が実現できているはず。
なので、平均以上の付加価値生んどけば金利上昇以上の賃金アップになっているはずなので何の心配もいらないです。
賃金上昇といってもは大企業だけでは?という声もある。確かに中小企業は賃金アップが遅いのは事実だけど、市場価値が高ければ転職含めて選択肢は無限です。
市場で通用するスキルは正義です。金利が上がる前に自分の市場価値を高めておくことが何よりのリスクヘッジになります。
■金利上昇時代の対策は?【ゆるやかな金利上昇パターン】
このパターンが有力だろうね。スキルアップの対策は緩やか金利上昇の場合も同じだけど、考えておくべきは残債が多い時期が金利負担が大きいってことです。
最初の10年間で金利の半分払います。つまり残債を減った後、もしくは減らせる余力がある状態で金利が上がっても怖くないです。だから早めに住宅ローンを組んでおいて年老いた時には、残債が減っているので、金利上昇でも対応できます。
4000万円金利0.3%35年 支払う金利 2,141738円 (利息割合 5.081%)
4000万円金利0.5%35年 支払う金利 3,610,342円(利息割合 8.278%)
例えばローン控除が終わる13年後に向けて、しっかり貯めて繰り上げ返済原資を貯める。13年後に金利が上がっていれば一部繰り上げ返済しても良いし、金利が上がってなければ繰り上げ返済せず事業や投資へ回せばいいです。
■固定金利か変動金利か?
未来は分からないので答えはないけど、不動産営業マンなら変動金利一択です。
変動と固定の金利差は1%程度あり、この差を埋めるには0.1%の利上げが10回必要。この10回の利上げが残債が多く残っている間に起きる可能性は低いと考えるためです。もし上がってもそれ以上に稼ぎ増やしておけば全く問題ないです。
残債が多いスタート時期に安い変動金利で過ごし、将来の金利上昇リスクはスキルアップと繰上返済原資の貯蓄でクリア可能です。
ちなみに、最初変動金利にして金利上昇したら固定金利に変えれば?という人いるけど、これは無意味。
今回もそうだけど変動金利より固定金利が先に上がる事が多いので変動金利上がった頃には固定金利はもうすでに上がっている。借り換えコストも多額です。金融機関だけでなく、登記関係の設定変更がありますので諸費用がかかります。
■固定金利のメリットは?
保険的な考え方。理屈では変動金利が良いけど、やっぱり将来の金利上昇が不安だ!という人は固定金利で安心を買うと思えばメリットですね。あとは、フラット35を選択する方は、勤務先が弱い自営業や、転職したばっかりで見込み年収で買いたい方や、派遣社員の方や、50歳以上の方で住宅ローンをフルで組めない方や、勤務先が弱い属性の独身者の方は、大手金融機関がなかなか貸してくれませんのでフラット35になる傾向が高いです。
不動産営業マンには過度な(心の安心のための)保険は否定派で、変動金利で組んで適度な緊張感持って仕事頑張る派だけど、ここは個人の考えでOKです。
フラット35に限れば、自営業や転職間もない人も取り組めるという金利以外でのメリットもあります。
■金利上昇時代の対策まとめ
・変動金利で借りる
・世の中の平均以上の市場価値・スキルを身に着ける
・繰上げ返済しようと思えばできる貯蓄を持つことです
そもそもの家の価格を抑える事はいつの時代も忘れずにね!ではいい家探しを!
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我々と話し合いながら落とし所を見つけ出す旅です。