2025年公示地価 4年連続で上昇 訪日客や再開発が寄与(日本経済新聞記事)
2025-03-21
国土交通省が18日発表した2025年1月1日時点の公示地価は、全国全用途平均が4年連続で上昇しました。地方圏も4年連続の上昇となりました。新型コロナウイルス禍が収束して以降、景気の緩やかな回復が続きインバウンド(訪日外国人)も順調に増えています。都市部を中心に地価は依然として上昇傾向で、駅周辺や再開発が盛んな地域でも上昇地点が目立ちます。 ■東京圏 商業地は8.2%上昇し、東京都内は23区すべてで上昇しました。区部で最も上昇率が高かったのは中野区16.3%でした。杉並区(15.1%)、台東区(14.8%)が続いた。マンション利用が可能な地域や再開発で利便性やにぎわいの向上が見込まれる地域を中心に上昇幅が拡大しました。 土産物店や飲食店が建ち並ぶ台東区の浅草では、インバウンドの増加により上昇幅が拡大しています。渋谷区の渋谷駅周辺も再開発への期待感から伸び率が高くなっています。 多摩地区は5.3%上昇しました。JR中央線や京王電鉄京王線の駅前周辺は人流回復の影響が出ています。マンション需要との競合も上昇を後押しました。 横浜市は7.2%上昇し、全18区のうち17区で上昇幅が拡大しました。千葉市は8.4%上昇しました。千葉駅周辺の再開発ビルの開業が影響しました。さいたま市は4.8%上昇しました。 住宅地は4.2%上昇し、23区すべてで上昇幅が拡大しました。上昇率が大きい順に中央区(13.9%)、港区(12.7%)、目黒区(12.5%)でした。都心区などではマンション、戸建てとも需要が旺盛でした。 ■大阪圏 商業地は6.7%上昇しました。上昇は3年連続で上昇幅が拡大。インバウンドの回復に加え、大阪駅や京都駅の周辺など再開発が活発な地域の上昇が目立ちます。 上昇率1位は大阪市のミナミの繁華街、道頓堀(22.6%)で、2位は京都市の京都駅南側の駅前(21.9%)だった。市平均で大阪市は11.6%、京都市は10.2%、神戸市は5.5%それぞれ上昇しました。 最高価格地点はJR大阪駅北側「うめきた」再開発地区の1期の「グランフロント大阪」南館(大阪市北区)で、1平方メートルあたり2430万円だった。2期の「グラングリーン大阪」が2024年9月に先行開業し、にぎわいが増しています。 住宅地は2.1%上昇。4年連続の上昇で上げ幅が拡大しました。大阪市は5.8%上昇しました。大阪府は北大阪や京阪沿線も上昇が目立ちます。京都府は京都市が3.2%上昇、兵庫県は神戸市が2.7%上がりました。 ■名古屋圏 商業地は3.8%上昇しました。上昇は4年連続となりました。最も上昇率が高かったのは名古屋市千種区の東邦ガス系複合ビル「今池ガスビル」で、14.2%上昇しました。千種区や熱田区ではマンション開発競争が激しくなり、商業地の値上がりにつながっています。 上昇率は三大都市圏で唯一、前年から縮小しました。インバウンドの回復が東京・大阪に比べて鈍い状況があり、上昇に一服感も出ています。 住宅地は2.3%上昇し、上昇率は前年から縮小した。郊外の主要駅近辺などの上昇が目立ちます。名古屋市各区で最も上昇率が高かったのは名古屋市熱田区(8.4%)でした。 市町村別では愛知県長久手市などで上昇率が前年から拡大しました。愛知県阿久比町が3.8%上昇し、県内で5番目に高かったです。 ■地方圏 商業地は1.6%上昇し、4年連続の上昇となりました。札幌、仙台、広島、福岡の4市では前年から上昇幅がやや縮小しました。福岡市は外国人を含む観光客の増加により百貨店の売り上げやホテルの稼働が好調で、上昇率が11.3%と4市で最も高かったです。 住宅地は1%上昇しました。上昇率は地方4市では福岡市(9%)が最も高かったが、上げ幅は前年から縮小しました。全国で最も上昇率が高かった地点は人気のリゾート地の北海道富良野市にあり、31.3%でした。 石川県内は金沢市が2.3%上昇しました。金沢駅周辺の住環境が良い地域などで上昇が継続しています。長野県の白馬村や野沢温泉村は国内富裕層や外国人による別荘地としての需要が旺盛で、上昇幅が拡大しました。東京・赤坂地区 8年連続首位 住宅地、上昇率10% 全国住宅地の地価高額地点では、東京都港区の高級住宅街にある地点「赤坂1―14―11」が8年連続で首位でした。1平方メートルあたり590万円で、上昇率は10.3%。上位10地点で上昇率が最も高かったのは港区の「赤坂6―19―23」(10位)で10.4%上昇しました。 東京圏の区市の中で住宅地の平均価格が最も高かったのは東京都千代田区で、328万2900円でした。大阪圏は大阪市西区で86万5000円、名古屋圏は名古屋市中区で120万200円だった。 ▼三大都市圏の範囲 東京圏は東京都区部全域と多摩地区(奥多摩町、檜原村を除く)、神奈川県の一部(横浜市、川崎市、相模原市、横須賀市など)、千葉県の一部(千葉市、市川市、船橋市、浦安市など)、埼玉県の一部(さいたま市、川越市、川口市、越谷市など)、茨城県の一部(取手市、守谷市など)。 大阪圏は大阪府全域と兵庫県の一部(神戸市、尼崎市、西宮市など)、京都府の一部(京都市、宇治市など)、奈良県の一部(奈良市、天理市など)。 名古屋圏は愛知県の一部(名古屋市、岡崎市、一宮市など)と三重県の一部(四日市市、桑名市など)。 それぞれ首都圏整備法や近畿圏整備法、中部圏開発整備法の対象地域を指す。 ■一覧表の見方 単位:1平方メートル当たり千円(千円未満切り捨て)1月1日現在。 [住]=住宅地/[商]=商業地/[工]=工業地/[宅]=宅地見込地/[林]=現況林地(注)地名は原則、住居表示。調査変更地点は前年値空欄。※は半年前発表の基準地価。◆は国土交通省がその地域の代表として選んだ標準地2025年公示地価のあらまし(1)標準地の設定対象区域 市街化区域および市街化調整区域に区分された都市計画区域約5万2181平方キロメートルと、その他の都市計画区域約5万706平方キロメートル、都市計画区域外の公示区域。対象は1377市区町村で、内訳は東京23区、787市、529町(東京電力福島第1原子力発電所事故に伴い調査を休止した2町を含む)、38村。(2)標準地の設定数 市街化区域2万582地点、市街化調整区域1362地点、その他の都市計画区域4040地点、都市計画区域外の公示区域16地点の計2万6000地点。このうち福島第1原発事故の影響で6地点、能登半島地震の影響で1地点は調査を休止している。市街化区域の用途地域別地点数と地点設定密度は以下の通り。 住宅地と宅地見込地=1万4050地点で東京、大阪、名古屋の三大都市圏と地方4市(札幌、仙台、広島、福岡)は約0.6平方キロメートル当たり1地点。それ以外の地方圏は約1.0平方キロメートル当たり1地点。 商業地=5181地点で約0.4平方キロメートル当たり1地点。 工業地=991地点で約2.2平方キロメートル当たり1地点。(3)標準地の選定基準 標準地の公示地価は一般の土地取引価格の指標になるだけでなく、公共事業用地の取得価格算定や、国土利用計画法に基づく土地取引規制における土地価格審査の基準にも使われる。このため、標準地は特に次の点に留意して選定されている。 代表性=当該区域全体の地価水準をできる限り代表し得るものであること。 中庸性=近隣地域での土地の利用状況、環境、面積、形状などが中庸のものであること。 安定性=近隣地域での安定した土地の利用状況に配慮したものであること。利用状況が移行している場合はその変化にも十分に配慮したものであること。 確定性=明確に他の土地と区別され、範囲が特定できるものであること。(4)価格の判定 公示対象は毎年1月1日における標準地の単位面積当たりの正常な価格。売り手にも買い手にも偏らず、客観的な価値を表す。正常な価格の判定は標準地に建物がある場合は建物がないもの、つまり更地として行われる。各標準地について2人以上の不動産鑑定士の評価を求めて結果を審査し、必要な調整を行って判定する。2025年の地価公示では不動産鑑定士2232人が鑑定評価に携わった。(5)公示方法 19日付の官報で公示される。公示地価などを記載した書面は地図とともに関係市町村(東京23区と政令指定都市は区)の事務所などに備えられ、誰でも自由に閲覧できる。国土交通省不動産・建設経済局のホームページ(https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/index.html)でも閲覧可能。
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