羽田へ新線、2030年代相次ぐ 東急沿線利便性高まる(日経新聞記事より)
2025-10-04
東急電鉄の蒲田駅と京浜急行電鉄の京急蒲田駅を結び、羽田空港へのアクセスを改善する東京都大田区の鉄道新線「新空港線(通称・蒲蒲線)」の実現が正式に決まりました。国土交通省が3日、東急などが申請した計画を認定しました。東京都内では2030年代以降に羽田への利便性が高まる新線が相次ぎ開業する計画で、拡大する訪日外国人(インバウンド)需要などを取り込む感じですね。
国交省関東運輸局が3日、営業主体の東急電鉄と、整備主体で同社や東京都大田区が出資する第三セクターの羽田エアポートライン(東京・大田)が申請した「速達性向上計画」を認定しました。既存施設を活用して都市鉄道の利便性を高める「都市鉄道等利便増進法」に基づく申請で、同計画の認定で鉄道事業の許可を得たとみなされます。
東急の蒲田駅と京急蒲田駅は800メートルほど離れており、交通のミッシングリンクとされてきた。蒲蒲線は線路を地下に新設し、これを解消する計画です。東急多摩川線の矢口渡から蒲田を経て京急蒲田駅地下の「蒲田新駅(仮称)」までの約1.7キロメートルを新たに整備です。総事業費は約1248億円を見込み、2038~2042年ごろの開業を目指します。
蒲蒲線の開通により、東急東横線から多摩川線を経由し、蒲田から羽田空港に至るルートがつながります。東急の蒲田駅と蒲田新駅間は朝のラッシュ時に1時間20本程度、その他の時間帯は1時間10本程度運行する計画だ。同区間は加算運賃を設定する予定です。
新路線は東急沿線の住民にとって利便性が高まります。例えば中目黒駅から京急蒲田駅は現在の約36分が約23分に、自由が丘駅から京急蒲田駅は同約37分が約15分に短縮します。東京メトロ副都心線などを経由し、池袋や埼玉県南部と羽田を結ぶ新ルートにもなります。
一方、今回の対象は「第1期区間」で開通後も蒲田新駅で乗り換えが必要となります。「第2期区間」は同駅からさらに地下を進み、京急空港線の大鳥居駅付近で同路線に乗り入れる計画です。乗り換えなしで羽田につながるようになるが、実現のメドは立っていません。
東京都内では、蒲蒲線のほかにも羽田空港へのアクセス向上につながる鉄道新線の計画が相次ぎます。現在、羽田に乗り入れる鉄道路線は京急と東京モノレールの2路線です。羽田の国際線発着枠の拡大に対応するため、輸送力強化は国を挙げた課題となっています。
JR東日本は2023年、羽田と東京都心を結ぶ羽田空港アクセス線の「東山手ルート」に着工しました。2031年度の開業を目指し、東京駅と羽田空港を乗り換えなしで18分ほどで結びます。アクセス線は東山手ルートのほか、東京臨海高速鉄道りんかい線に合流を検討し、JR京葉線の新木場駅まで結ぶ「臨海部ルート」、渋谷駅や新宿駅方面に向かう「西山手ルート」も計画されています。
臨海部ルートが乗り入れる沿線にはお台場や東京ビッグサイト(東京・江東)があります。臨海部では都が東京駅を起点に銀座や築地、東京ビッグサイト周辺を結ぶ「臨海地下鉄」を計画があります。2040年までの開業を目指し、羽田空港との接続も検討します。実現すれば、東京臨海部から羽田へのアクセスが大幅に向上します。
都心部では東京メトロが2024年、南北線の延伸工事に着手しました。白金高輪から品川まで延ばし、2030年代半ばの開業を目指します。完成すれば同駅で京急線に接続し、羽田と都心部のアクセスが改善します。
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ビジネスや観光目的で来日する人の利便性が高まります。東京の国際競争力の強化にとって空港アクセスの改善は不可欠となります。