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マンション購入時に頭金3000万問題(日経新聞)

責任ある積極財政を打ち出した高市早苗政権の発足を真っ先に好感したのが株式市場でした。2024年に4万円台に乗せていた日経平均株価は2025年10月に5万円を突破しました。
 個人投資家も積極的に参入しています。株式売買高に占める個人の割合(直近12カ月平均)は11月に約4割と過去10年で最も高い水準をつけました。
 「日経平均の5万円は通過点。まだまだ上がる」(都内在住の60代男性)、「企業の業績はさらに拡大すると思います。長期の上昇余地は大きい」(10代の大学生)など、前向きな声は強いです。
 こういった投資家の高まる期待に、新たな政策が呼応しているかは疑問です。
 高市政権が11月に打ち出した21.3兆円の総合経済対策では、電気・ガス料金の負担軽減、旧暫定税率の廃止によるガソリン・軽油価格の引き下げなど、家計支援を目玉に据えています。子ども1人2万円の手当も実施します。
 エネルギーコストの引き下げは脱炭素社会の動きと矛盾します。一律の支給は高所得者にもお金が向かいます。メリハリある政策とは言いがたいです。
 日本経済の供給力が低迷する中、巨額の財政支出はインフレを加速させ、個人消費を落ち込ませるリスクがあります。財政規律の悪化を見越した円安も購買力低下に追い打ちをかけます。
 株価上昇などに光があたる分、資産価格の上昇には影の部分も目立ちます。
 不動産経済研究所によると、東京23区の新築マンションの価格は2025年4〜9月の平均価格で1億3309万円となりました。前年同期に比べ1.2倍です。
 「東京で住宅を取得するには、3000万円を超す頭金を用意するか、40年近い長期間のローンを組む必要がある」。国土交通省は今年、不動産取得を巡りこんな試算をまとめました。
 35年の固定金利ローンをフラット35で組む場合、最大借入金額が8000万円であるため、都区部で分譲マンションを買うには頭金を3181万円用意する必要があるとはじきます。年収の3分の1の年319万円を返済にあてる必要もあります。ペーアーローンで最大8000万円なので都心部でフラット35を使うユーザーは少ないです。
 頭金なしで変動金利ローンを組んだ場合は完済までに39年かかります。「試算時点に比べ変動金利は上がっています。今後、さらに返済期間が延びるリスクもある」(国交省の担当者)は見ています
 家賃の伸び率を消費者物価指数でみると、2025年4月以降、都区部では伸びが1%を超えました。1995年以来の動きです。


 賃金の伸びが追いつかなければ消費者の購買力は悪化します。
 「早期に給付付き税額控除の制度設計に着手する」。首相は10月の所信表明演説で実現に意欲を示しました。インフレの悪影響を強く受ける人に絞った支援ができる。スピード感ある政策展開が求められます。
 野放図な財政支出は金利の上昇を招き、結果的に民間部門の投資が減ってしまう「クラウディングアウト」につながるリスクがあります。仮にそうなれば目指していた産業力の強化も画餅となります。合理的な戦略で支出対象の絞り込みを進め、政策効果を高める視点が欠かせないです。