首都圏で久しぶりに大型新線が開業します。東急と相鉄を結ぶ新横浜線です。鉄道網が広がり、沿線の人口もマンション価格も上昇傾向。大きな期待を集めています。(AERA 2023年3月20日号の記事から紹介します。)
東急東横線の日吉駅(横浜市港北区)近くに住む男性(40代)は期待を込めています。
「乗り換えなしで新横浜駅まで行ける。すごく便利です!」
2023年 3月18日、関東の大手私鉄の東急電鉄(東急)と相模鉄道(相鉄)の両社を結ぶ新線「新横浜線」が開業します。
東急は「東急新横浜線」の名称で新たに誕生する新横浜(同港北区)−日吉の5.8キロ。一方の相鉄は、2019年11月に開業した、西谷(にしや)(同保土ケ谷区)−羽沢横浜国大(同神奈川区)の2.1キロの「相鉄新横浜線」が延伸され東急新横浜線につながります。新規に開業するのは羽沢横浜国大−新横浜の4.2キロです。
■上下線で計約200本
1日の運行本数は上下線合わせて約200本。平日朝ラッシュ時の上りは1時間あたり最大16本、その他の時間帯も4~8本程度を運行します。
これによって神奈川県央から新横浜、さらに東京都心へのアクセス利便性が向上します。埼玉高速鉄道線や東武東上線などとも直通運転が行われ、首都圏の広域路線ネットワークが形成されます。
例えば、海老名(神奈川県海老名市)−目黒(東京都品川区)は約29分短縮され最速で53分、湘南台(神奈川県藤沢市)−渋谷(東京都渋谷区)は約22分短縮され最速51分で結ばれます。そして、目黒を経由し都営三田線であれば西高島平(東京都板橋区)へ、メトロ南北線であれば埼玉高速鉄道埼玉スタジアム線の浦和美園(さいたま市)へ。また、渋谷を経由して東武東上線の川越(埼玉県川越市)まで行けることになります。
「東海道新幹線へのアクセスの向上や、広域な相互直通運転による地域間の移動や新たな需要の創出につながり、沿線の更なる活性化に寄与すると期待しております」(東急電鉄広報)
「相鉄線沿線は東京都心に比べると、自然豊かで、子育てなどがしやすい環境にあります。それに加えて、都心等への利便性が高まるため、沿線を選んでいただける方が増えていくことを期待しています」(相模鉄道広報)
と利便性をアピールします。
■建設費約4022億円
鉄道アナリストの川島令三(りょうぞう)さんは、こう評します。
「新横浜線は東急と相鉄、両社にとって念願の相互乗り入れになった」
新横浜線の構想が持ち上がったのは2000年。国の運輸政策審議会の答申が始まりでした。その後、2003年に国や事業者らの懇談会が開かれ、構想が具体化しました。だが、用地取得や軟弱地盤の対策などで工事は難航。当初2019年4月の開業を見込んでいたが2度延期し、約4年遅れての開業となります。
建設費も全線(西谷−日吉)で約2739億円から約4022億円まで膨らみ、国と鉄道・運輸機構、県・横浜市が3分の1ずつ負担します。
「東急は新横浜に直通して新幹線への利便性を図りたい、相鉄は新横浜を通って都心へのアクセスをよくしたいと考えていた。そうした両社の思いが結実しました」(川島さん)
鉄道ジャーナリストの松本典久さんは、新線開通による最大のメリットは「東海道新幹線への利便性向上だ」と言います。
「まず、東急側から新横浜に行くにはこれまで菊名(横浜市港北区)でJR横浜線に乗り換えていました。それが、新横浜に直通することで時間的に短縮され運賃も安くなります」
例えば、渋谷から新横浜までは、菊名で乗り換え約40分かかっていたのが25分に短縮されます。運賃も切符の場合、新綱島−新横浜で70円加算されながら、400円→360円と40円安くなります。日吉から新横浜まではわずか約6分だ。運賃は300円→250円(切符)。冒頭の日吉駅近くに住む男性は言います。
「これまでは菊名駅で乗り換えると、重い荷物を持っていると大変でした。時間も20分近くかかっていましたが、乗り換えなしで6分。驚きの速さです」
当然、相鉄側からも新幹線へのアクセスは良くなります。
例えば、海老名から新横浜に行く場合、所要時間が最も短いのは横浜で横浜市営地下鉄に乗り換えるルートで約45分だった。それが約25分で到着します。運賃も切符の場合、羽沢横浜国大−新横浜で40円加算されるものの、570円→400円と170円も安くなります。
■新横浜駅始発「のぞみ」
JR東海も動きました。
新横浜駅始発の東海道新幹線「のぞみ」を、新線開業日に合わせ初めて運行します。
「首都圏から関西地区にもっとも早く到達できるようになるため、一定程度のご利用があると推定しています」(同社広報部)
運行を始めるのは午前6時3分発「のぞみ491号」。これによって、品川を午前6時に出発する始発の「のぞみ79号」より名古屋、京都、新大阪に9~10分早く到着し、首都圏から名古屋や大阪圏にもっとも早く着くことになります。
「新横浜駅利用が加速し、東京・品川・新横浜各駅の使い分けや人の流れが、かなり変わるだろう」(鉄道ジャーナリスト松本さん)
鉄道の利便性が向上すれば、街に活気をもたらす感じがします。
その一つが、神奈川県のほぼ中央に位置する海老名市です。今年1月時点で、人口は前年同期比2015人増の13万9538人。藤沢市の2124人増に次いで県内2番目の伸びとなりました。今年中には人口は14万人を突破すると見られています。
不動産・住宅情報サービスの「LIFULL HOME’S (ライフルホームズ)」は、横浜新線のハブ駅となる「二俣川」と「西谷」の2駅と、その所在地である横浜市「旭区」と「保土ケ谷区」における中古マンションの平均価格の推移を調べました。
その結果、「旭区」と「保土ケ谷区」内の駅から徒歩10分以内の物件は2019年12月の2525万円から、3年後の2022年12月は4056万円と3年間で1.6倍(60.6%増)になりました。一方、「二俣川駅」と「西谷駅」それぞれ徒歩10分以内の物件に絞った場合、2019年12月の2220万円から、2022年12月は4637万円と2倍以上(108.9%増)の伸び率を記録しますた。こんだけ不動産価格が伸びても、給料が2倍に上がっていないので
供給側と需要側が、なかなかマッチしていないのが、仲介会社側の感覚です
さらに中古マンションの場合は、管理会社のインフレにより管理費の上昇とさらに、戦争により資材費や資源コストアップにより、修繕積立費用もアップしてきているので、ランニングコストアップしています
そして、人気がでると土地の値段が上がるので、固定資産評価額もアップしてくるので、税金もアップします
旭区と保土ヶ谷区での、中古マンション価格上昇とランニングコスト上昇にともない、中古戸建てや新築戸建てに条件を変更する方はが多くなっています
このエリアは、車が条件になるので、マンションですと駐車場代が10000〜20000円かかる場合があると、管理費と修繕費と駐車場代を合わせると、平均的な3LDKの場合だと約5万円かかるとなると、もし、これを住宅ローンで支払ったとなると約2000万円ぐらいになるので、一戸建てならば、管理費や駐車場代はかからないので、その分物件価格に回せるため、一戸建てを決断する方が多くなります
さらに、中古マンションの場合は、大規模物件や団地のような世帯数や敷地に余裕があると、数の原理で、管理費や駐車場が平置き等でランニングコストが安めなのですが、相鉄線沿線の駅近中古マンション物件は、土地の確保が難しかったのか、小規模タイプが多いです、特に20世帯以下だと異常にランニングコストが高い物件が目立ちます、残念な物件は、当時の分譲会社が、エレベーターを作らなかったり、擁壁の上に建築してしまって、道路から階段を使わないとエントランスまでいけない物件など目立ちます 小規模で築30年ぐらい経っている物件で、修繕費が貯まらないせいだと思いますが、オートロックがないとか、宅配ボックスが置けなかったり、当時はこんだけ宅配が進むとは考えられなかったと思うので、郵便ポストも小さくて郵便物の大型化に追いつけていないです
■さらに上昇の可能性
LIFULL HOME’S 総研チーフアナリストの中山登志朗さんは言います。
「マンション価格は、交通の利便性が上がれば当然上がります。もともと旭区や保土ケ谷区エリアは横浜の中心部ではないので、マンションの物件価格は(横浜中心部の)中区や西区と比較すると高くありませんでした。それが、ハブ駅において3年間で2倍近く値上がりしたのは、交通の利便性が飛躍的に向上することへの期待の表れだと考えられます!」
新線の開業後についてはこう見ます。
「新線沿線で暮らす方々が利便性を実感し始めれば、沿線に移り住む方が増えるという副次的効果も期待できます。そうなれば、さらなるマンション価格の上昇につながっていく可能性は十分にあります」
新しい鉄路ができ、人の流れがどう変わるか。街の変化とともに、注目したいです。(編集部・野村昌二)
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