国土交通省が22日発表した2023年1月1日時点の公示地価の全国全用途平均は2年連続で上昇した。地方圏も2年連続で上昇した。新型コロナウイルス下で緩やかに景気が持ち直す中で、都市部を中心に地価の上昇が継続し、回復傾向が顕著となった。三大都市圏では大阪圏の商業地が3年ぶりに上昇へと転じた。【関連記事】公示地価1.6%上昇、15年ぶり伸び率 都心回帰映す 東京圏 商業地は3.0%上昇した。東京都内では23区の全てで上昇。再開発が進み利便性の向上した地点や上層階の住宅利用が可能な地点で上昇が目立った。コロナの影響で下落が続いていた千代田・中央・港の3区も国内観光客の回復やオフィスの投資需要の高まりで上昇に転じた。横浜市の商業地は3.4%上昇した。特に西区は神奈川大学のみなとみらいキャンパス移転や企業進出により5.2%上昇した。帝国データバンクが21年5月に発表した調査によると、20年の神奈川県への本社移転数は241社で全国で東京都に次ぐ2位だった。また31年連続で県内転入が県外転出を上回る。帝国データバンク横浜支店の担当者によると「アクセスの良さといった利便性や、東京よりも賃料が高くない点」が評価されるという。こういったメリットで企業が進出や移転が増えているため地価上昇している
構想から着工まで約20年かかった相模鉄道・東急電鉄の直通線「新横浜線」の新駅「新綱島」「新横浜」が開業した港北区の上昇率は2.8%にとどまった。国交省によると、同線開通の効果は「期待感による上昇が見られた地点はあったが、全体としてまだ顕著に出てきていない」という。まだまだ開業したことの認知がされていないのでこれからの期待はできますし、「新綱島」また「綱島」駅は、市街化大規模再開発も行われておりまして、タワーマンションが出来ますので人の流れが増えてエリアの活性化につながり、住宅の流通も増えていくと考えられます
住宅地は2.1%上昇し、23区すべてで前年から上昇幅が拡大した。複数の路線が乗り入れる利便性の高い駅周辺のマンションや戸建ての需要が旺盛で、都内では上昇率の大きい順に台東区(4.8%)、豊島区(4.7%)、中野区(4.6%)だった。
大阪圏
商業地は2.3%上昇した。前年の横ばいから、3年ぶりに上昇へ転じた。底堅いオフィス需要やJR大阪駅北側の再開発地区「うめきた2期」への期待感から、「グランフロント大阪南館」が3年連続で商業地の最高価格になるなど梅田周辺で地価が上昇した。観光客の回復により、ミナミでも横ばいかプラスの地点が多かった。
京都市は前年の0.7%から上昇幅が3.3%に拡大。市内に国内観光客が戻りつつあり、地価が下落した地点は一つもなかった。京都駅東側では開発機運が高まっており、下京区で上昇が目立った。
住宅地は2年連続で上がり0.7%上昇した。大阪市は福島区や天王寺区など利便性の高い地区のマンション需要が旺盛で、1.6%上昇。神戸市は1.2%の上昇で、住宅地の変動率上位は灘区が占めた。京都市は1.2%上昇した。
名古屋圏
商業地は3.4%上昇し、名古屋市内では全16区で上昇幅が拡大した。「栄(さかえ)」地区で高級ホテルや大型商業施設の再開発が進み、地価上昇のけん引役となっている。人流が回復し店舗の出店意欲も戻りつつある。上昇率が最も高かったのは栄地区の「シティコーポ久屋・建設会館」だった。
名古屋圏は商業地・住宅地ともに上昇幅が東京・大阪圏より大きい。コロナ禍によるインバウンド減少の影響が小さく、回復も早かったとみられる。
住宅地は2.3%上昇した。名古屋市内中心部の中区(11.1%上昇)や東区(6.5%上昇)の上昇率が高かった。市町村別で上昇率が最も高かったのは東海市で、7.8%上昇した。東海市の太田川駅周辺は名古屋駅まで20分以内と利便性が高い。名古屋市内と比べ価格も安く、地価が上昇している。
地方圏
商業地は1.0%上昇し2年連続でプラスとなった。中心的な地方4市「札幌、仙台、広島、福岡」でいずれも上昇幅が拡大。福岡市はJR博多駅周辺などでの再開発促進策の効果で上昇率が10.6%と地方4市で首位だった。
住宅地は1.2%上昇した。地方4市のうち札幌市は上昇率が15.0%に拡大した。住宅需要は周辺にも広がり、札幌へのアクセスがよい江別市は27.5%上がった。北広島市はプロ野球の新球場を核とした「北海道ボールパークFビレッジ」開業への期待から住宅地(26.2%)、商業地(26.7%)とも上昇した。
地方4市を除くその他の市町村の商業地は3年ぶりに上昇し、住宅地は28年ぶりに上昇へ転じた。熊本県菊陽町は住宅地が9.7%上昇し、商業地は21.7%の急上昇となった。半導体受託生産の世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)の進出で住宅・オフィス需要が急増した。
東京の赤坂地区、住宅地で6年連続首位
全国住宅地の地価高額地点では東京都港区の高級住宅街にある地点「赤坂1-14-11」が1平方メートル当たり512万円と6年連続で首位だった。上昇率は2.4%。上位10位で上昇率が最も高かったのは同304万円と5.2%上昇した渋谷区恵比寿西2-20-7だ。
三大都市圏の住宅地平均価格を市区別にみると、東京圏の最高は高級住宅街の通称「番町」を抱える東京都千代田区が同279万1400円。大阪圏は大阪市西区が74万2000円、名古屋圏は名古屋市中区が同104万5000円だった。
▼三大都市圏の範囲 東京圏は東京都区部全域と多摩地区(奥多摩町、檜原村を除く)、神奈川県の一部(横浜市、川崎市、相模原市、横須賀市など)、千葉県の一部(千葉市、市川市、船橋市、浦安市など)、埼玉県の一部(さいたま市、川越市、川口市、越谷市など)、茨城県の一部(取手市、守谷市など)。
大阪圏は大阪府全域と兵庫県の一部(神戸市、尼崎市、西宮市など)、京都府の一部(京都市、宇治市など)、奈良県の一部(奈良市、天理市など)。
名古屋圏は愛知県の一部(名古屋市、岡崎市、一宮市など)と三重県の一部(四日市市、桑名市など)。
それぞれ首都圏整備法や近畿圏整備法、中部圏開発整備法の対象地域を指す。
\お気軽にご相談ください!/
弊社へのお問い合わせはこちら