マンション建て替え 隣接住民に区分所有権付与 (日経新聞より)
2025-01-19
国土交通省はマンションを建て替える際に、隣接する民家や駐車場などに用地を広げて建物を大きくできる取り組みを後押します。隣接地の所有者に建て替え後のマンションの区分所有権を付与できるよう法改正します。人口減に直面するなか、新規開発に頼る手法ではなく、既存の都市機能を刷新する住宅政策を進めます。 近年は築年数が重なった建物が増えたほか、シニア層の住民が多いというマンションの「高齢化」が課題となっています。建て替えを進めようとしても資材価格や人件費の高騰などで費用負担が増大し、住民間での合意形成が難しくなっています。 容積率の上限いっぱいまで使って建てたマンションが増加していることも、調整が難航する要因となっています。隣接地を活用して建物を大きくし、部屋数を増やせれば、売却収入によって建て替えコストを抑えることができます。国交省は2025年の通常国会に関連法案を提出する方針です。 戦後の高度成長期を中心に、政府は郊外の集合住宅の建設を後押しして人口増の需要に応えてきました。人口減少時代に入り、公共交通や病院が整う都市部のマンションの新陳代謝を重視する政策に改めます。耐震強度の引き上げは、自然災害時の安全性向上にもつながります。 マンションは建て替えの際に、区分所有権をもつ既存の住人で組合をつくります。現行法では外部の住民に区分所有権を付与することができないです。隣接地を取り込んで用地を広げる場合でも、隣接住民らには取得価格に相当する補償金を支払うことしかできないです。 補償金が入っても、新たな住まいを探さなければならないケースがあり、同意を得にくいといった問題がありました。「マンション建て替え円滑化法」を改正し、隣接地の所有者の協力を得やすい環境整備につなげようとします。 2023年末時点でマンションは国内におよそ700万戸分が立地します。耐用年数を迎えるなどして建て替えを完了できたのは、24年4月までに2万4千戸程度となっています。 今回の法改正では、借地権が設定されたマンションを建て替える場合に、土地の持ち主の所有権を建て替え後の区分所有権に変えられる制度も盛り込ります。 国交省によると、マンション建て替え時の1世帯あたりの負担額は2000年代に900万円程度でした。2020年代にはおよそ2000万円に膨らんでいます。資材高や建設人材の不足などで費用負担は後も増加が見込まれます。 マンションの建て替えでは法務省が、住民間での合意形成を後押しする区分所有法の改正を検討しています。現在は建て替えの決議に全区分所有者の(80%)5分の4以上の賛成が必要で、ハードルが高いです。 法改正によって、所在不明の区分所有者を決議の際の母数から除けるようにします。あわせて耐震性などに課題があるといった理由があれば、(75%)4分の3以上の賛成で決議できるようにもします。
築古いマンションの建て替えを容易にするための法改正を急いでいます
・隣接地の所有者に建て替え後のマンションの区分所有権を付与できるように法改正
・借地権マンションを建て替える場合に、土地の持ち主の所有権を建て替え後の区分所有権に変更できる
法改正(都心エリアは、旧法の地上権や賃借権の物件が多く現金で購入する方はいいのですが、金融機関からの
借入れをする際に、担保価値や組める年数などの制限がでるので購入際のハードルが上がる、今回の法改正で
建て替えと同時に権利関係が所有権になるとかなりのメリットになります)
・建て替えの決議4/5→3/4以上の賛成に変更
所在不明の区分所有者を母数から除く法改正