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住宅ローンの5年ルールの複雑さ (日経新聞記事より)

日銀が追加利上げの姿勢を崩さない中、住宅ローン契約者は金利上昇に気をもむ状況が続きます。家計への影響を正確につかむには「5年ルール」の仕組みを知ることが欠かせないです。激変を防ぐ一方で、総利息は膨らみます。その『功罪』を確認しておきたいです。
 「5年ルールの内容をわかっていなかった」。住宅ローン返済中の30代会社員は肩を落とします。残債は数千万円。2025年7月に金利が0.25%上がったが、5年ルールで返済額は変わらず、安心していました。だが、知人から「総利息は数百万円は増えている」と一言。「増えることは知っていたが、返済額が変わらないので影響がそんなに大きいと思わなかった」
 5年ルールは元利均等方式の住宅ローンで、金利が変動しても毎月返済額の見直しは5年ごとにしか行わない仕組みです。1990年代後半から2000年代初頭に多くの金融機関が採用したが、住宅ローン相談サービス「モゲチェック」を運営するMFSの塩沢崇取締役は「仕組みを正確に知っている人は少ない」と話します。

 金利上昇時も返済額をしばらく据え置けるのは「内訳」を変えるからです。ローンの毎月返済額は利息と元本返済分からなります。7000万円を年利0.5%、35年の元利均等方式で借りると毎月返済額は約18万1700円です。初月はうち約2万9200円が利息、残り約15万2500円が元本返済分です。
 金利が半年後に0.75%へ上がり、5年ルールで返済額が変わるのは61カ月目とします。直前の60カ月目は毎月返済額こそ変わらないが、内訳は利息が約3万8500円に増え、元本返済分は約14万3200円に減ります。
 実は「5年ルールがない方が総利息増加は少ない」(塩沢氏)いいます。金利上昇後すぐ返済額も変えると、元本返済は5年ルール適用時より若干早く進みます。残る元本が少ないため利息も減ります。先の例で5年ルールがない場合、5年ルール適用時より総利息は約5万7000円少ない。小さな違いにみえるが金利上昇が続けば無視できない金額差となることもあり得ります。

 猶予期間はない一方、家計への影響はわかりやすいため「5年ルールのない銀行をあえて選んだ」(40代会社員)という人もいます。ネット銀行の一部は5年ルールがないです。「すぐ返済額が増えた方がわかりやすく、他支出を削るなどの行動に移りやすい」といいます。
 そもそも金利や返済額が変わる時期の把握は難しいです。日銀の利上げ後、金融機関がローン金利を見直します。通常、その時期は4月と10月で、見直した金利は4月分が7月、10月分は翌年1月に適用です。もし日銀が2025年12月に利上げすると反映は2026年7月の見込みです。

 ここに5年ルールが重なると、なお複雑です。5年を数える起点は通常、各人が借り入れたタイミングです。そのため金利上昇があった時からで考えると「返済額は丸5年程度変わらないケースも、数カ月など短期間で変わる例もあり得る」(三井住友トラスト・資産のミライ研究所所長の丸岡知夫氏)。
 もう一つ注意したいのは繰り上げ返済との関係です。金利上昇の影響を和らげようと返済額軽減型の一部繰り上げ返済を考える人もいるが、これを行うと通常は5年ルール適用中でも返済額が変わります。この時点の残債と金利、残り期間で返済額を再計算するからです。
 問題は繰り上げ返済の額などによって「毎月返済額が増える可能性もある」(丸岡氏)こと。先延ばししていた返済額上昇を早める形です。5年ルールがない銀行に近い返済額へ調整する使い方もあるが、家計収支が悪化する事態も考えられるので事前に確認したいです。
 5年ルールは、総利息の増加という対価を払って猶予を得る仕組みです。せっかく得た時間を浪費せず、返済額増加も見据え、どう家計を運営していくか、冷静に考えることが大切です。
▼125%ルール 通常5年ルールとセットになる仕組みです。返済額を上げる場合、それまでの返済額の25%増を上限とします。未払い分は最終的にローン支払期限に一括返済となる可能性もあるが「125%ルール発動は基本的に大幅な金利上昇が続いた時に限られる」(塩沢氏)。自らの条件に照らして試算しておきたいです。 \お気軽にご相談ください!/